電子機器

タブレット端末やスマートフォンなど新たな電子機器の活用

電子機器の活用

タブレットやスマートフォン

現在、ロービジョンケアの分野においても補助具として非常に期待されているのがタブレットやスマートフォンです。タブレットやスマートフォンでは1台で、文字の拡大縮小・文字の白黒反転・文章読み上げが可能です。

ほかにも、インターネットにつないでニュースを読んだり、ラジオを聴いたり、テレビ電話のように使用することができます。文字を拡大して電子書籍を読むこともできます。当然、通話や通信も可能で、使えるようになると多くのことができるようになります。

現代人の日常生活において必須のデバイスです。また、他の視覚補助具に比べて安価であったり、加えてご自身のお子さんやお孫さんが使い方を知っていれば身近な人から使い方を教えてもらうこともできます。現在では、盲学校においてもお子様のタブレット端末は必需品となりつつあります。盲学校においてもお子様のタブレット端末は必需品となりつつあります。「難しそう」と思われている方もいらっしゃると思いますが、積極的に使用してみましょう。

電子機器の発展に関しては今後多くのイノベーションが期待できますし、また、今以上にタブレットやスマートフォン、パソコン、そしてまだ見たことのないような機器を用いたロービジョンケアが行われるようになります。今のうちから少しずつ慣れておくと良いでしょう。

この分野の発展は著しく、今後多くの新たな機器が普及していくと思われます。いくつか新しいものについて紹介します。

プレクストークリンクポケット

様々なデジタル録音図書が聞けるポータブルレコーダー

ポータブルレコーダー再生録音機。パソコンを使わずにサピエのデイジー図書、シネマデイジー、雑誌が聴けるだけではなく、CDだけで配信されるデイジー図書、ニュースから趣味の世界まで楽しめるポッドキャストもこれ1台で聴くことが可能です。小型軽量で携帯しやすく録音もできます。

プレクストークリンクポケット

暗所視支援眼鏡 HOYA MW10 HiKARI

夜盲の症状のある方、視野狭窄の方のための視覚を補助するメガネ型の機器

デザインは2種(見え方は同じ)

HOYA MW10 HiKARIのデザイン1
HOYA MW10 HiKARIのデザイン2
見え方の比較

左側:市販のビデオカメラ(晴眼者でも暗く見辛い)

中央: HOYA MW10 HiKARI(標準レンズ)

右側:HOYA MW10 HiKARI(広角レンズ)

HOYA MW10 紹介動画

HOYA MW10を使用している光景
暗所や夜間の暗い環境でも明るい視野を提供する眼鏡型の機器です。HOYA開発の小型高感度カメラが捉えた映像を内臓ディスプレイに投影し、暗所でも明るく見えます。

夜盲の症状のある方、視野狭窄の方のための視覚を補助するメガネ型デバイスで、暗い所でも明るくカラーで見ることができます。 広角レンズに交換することで、水平最大142°までの広範囲の情報を得ることができます。 映像は拡大や縮小することが可能で、さらに明るさの調整や白黒表示なども選べます。
オプション機能として、遠隔地の人にカメラ映像を見てもらえる通話機能があります。

〈問い合わせ先〉 info@vixion.jp
〈コールセンター〉 TEL.0570-003-487

Orcam MyEye2

文字の読み上げ、人の顔認識、紙幣や色の識別などができる眼鏡に装着するAIカメラ

メガネに装着して読みたい目の前の文章を撮影すると、音声で読み上げます。オーカムマイアイ2は、人の顔認識、紙幣や色の識別、バーコード情報の読み上げ機能があります。オーカムマイリーダー2は、文字の読み上げ機能に絞ったモデルです。
使用の際、インターネットの接続は不要で、指差しなどのジェスチャーによる操作方法が特徴です。

Orcam MyEye2

エンジェルアイスマートリーダー

読み取る範囲を音声で案内し、文字の音声読み上げができる眼鏡に装着するAIカメラ

メガネに装着して読みたい目の前の文章を撮影すると、音声で読み上げます。カメラの撮影範囲を音声ガイドで指示するのが特徴です。使用の際、インターネットの接続は不要です。

エンジェルアイスマートリーダーを装着する様子

エンビジョングラス

ネット接続で人や風景の認識、手書き文字も対応の多彩な機能のメガネ型のウェアラブル端末

メガネ型の機器で、本体部分にはカメラと小型ディスプレイ、スピーカーが搭載されており、ネットワークに接続して使用するウェアラブル端末です。カメラに映る文字や物、人や風景の認識などの多彩な視覚支援機能が利用できます。手書き文字の認識もできます。
また、通話機能により遠隔の人的な視覚支援が受けられます。

エンビジョングラス

ダイナグラス

ネット接続で信号の色の通知、情景認識、文字の読み上げができるAI誘導装置

ダイナグラス(AI誘導装置)は、AI技術により情景描写、ペットボトル等の外装読み上げ、屋外看板読み上げ、信号の色と点滅の通知、ハザードエリアへの接近通知等、空間的情報を音声によって通知する機能があります。携帯コンピュータとケーブルでつながった首かけカメラで構成されており、モバイル通信によりネットワークに接続しクラウド上のコアエンジンが処理しています。
まだ、現状では、認識制度などの課題はありますが、信号の色の通知、情景認識、障害物検知などAIの解析性能の改善で安全な移動に役立つ開発が期待されます。

ダイナグラス

リモートアシスト

簡単なボタン操作でカメラ映像を遠隔のサポーターに送信し、支援が受けられるサービス

ウェアラブルカメラで撮影した視覚障がい者の目線映像を遠隔のサポーターにリアルタイムに送信する装置で、簡単なワンタッチのボタン操作で利用できます。サポーターは一般社団法人日本視覚障害者遠隔援護協会に所属するボランティアが担当するので安心できます。サービスは朝8時から夜8時まで、1日の接続回数に制限はありません。
本サービスのご利用にはウェアラブルカメラや送信機など専用機器の月額利用料が必要です。

リモートアシストを利用する様子

アイコサポート(プライムアシスタンス)

iPhoneの専用アプリで、カメラとGPSを使用しオペレーターが支援するサービス

iPhoneの専用アプリで接続することで、利用者のiPhoneのカメラに写っている映像情報や位置情報を基にして専門のオペレーターが口頭でサポートするサービスです。個人情報管理のもと運営されており、オペレーターは視覚障害当事者による研修や同行援護従業者研修またはそれに準ずる研修を受講し、視覚障害の方にとってわかりやすい案内方法を学んでいます。
利用料は月額5,500円で、毎月合計2時間までとなっています。初期利用時は最大二ヶ月間の無料でお試しできる期間があります。

アイコサポート(プライムアシスタンス)のアプリ画面とオペレーター

視覚補助具については日本ロービジョン学会でもガイドブックを作成し、用途や使い方を紹介しています。 眼科医が患者さんに直接補助具を販売することは難しいため、そのような形で患者さんに多くの補助具を紹介し、その中からご自身で必要なものを選んでいただくとよいでしょう。こうした補助具の存在を知ってもらうことはロービジョンケアの重要な役割のひとつです。